バクテリオファージを使用して神経変性疾患を治療する

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バクテリオファージとは細菌に感染するウィルスである。

バクテリオファージを簡単に説明すると、溶菌性と溶原性がある。
溶菌性は細菌に自分の遺伝子を注入して自己複製を行い、最後に細菌を溶して殺す。溶原性は細菌の遺伝子に自己の遺伝子を注入し組み込む。その組み込まれた細菌の遺伝子は受け継がれる。

溶原性ファージに関しては、抗生物質に耐性を持つ遺伝子や毒素を産生する遺伝子を持つものも存在する。その溶原性ファージが細菌に感染することによって細菌が抗生物質に耐性を持ったり、毒素を産生する能力を得ることがある。
私自身は、逆に人間にとって有益な能力を得ることもあるのではないかと考えている。

バクテリオファージの利点は特定の細菌にのみ感染して殺すこと。欠点は特異的すぎることだ。

だが、研究でもう一つの利点が判明した。それは神経変性疾患の原因の一つとなっている異常なタンパク質を溶解する能力を持っているということだ。

ファージ(バクテリオファージ)が神経変性疾患の発症に重要な役割を果たしている異常なタンパク質の凝縮体を溶解することにより、認知機能の改善などが報告されている。

治療方法はバクテリオファージを静脈注射で投与する。
ウィルスを脳血液関門に届けれるかが成功の鍵になっていて、マウスや人以外の霊長類では安全であると証明されている。
しかし、人への臨床試験で効果が出るかは、まだ不明である。

将来、アルツハイマー病、パーキンソン病筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病プリオン病などの恐ろしい病気を微生物が治療する時代も近い。
そして、今後は肉眼では見えない所で起きている様々な病気が明らかになってくるだろう。

不治の病を治療できる未来がくることを願っている。

最後に、抗生物質は敵、味方関係なく殺すことを忘れてはならない。

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