ケトジェニックダイエットとmicrobiome

f:id:gutmicrobiome:20201120201745j:plain

ケトジェニックダイエットとは、高脂肪、低炭水化物の食事だ。

昔はてんかんなどの治療に使われていて、現在ではアルツハイマー病、パーキンソン病筋萎縮性側索硬化症、頭痛、てんかん、神経外傷などに効果がある可能性が報告されている。

海外ではケトジェニックダイエットで自己免疫疾患を治療(あくまで抑える)している人達が多くいる。

仕組みは体にブドウ糖が不足している時に、肝臓が脂肪からケトン体を生成して体全体と脳のエネルギーにする。ケトジェニック以外にも断食をした時や激しい運動をした時などにもケトーシスになることがある。

ケトン体は大きく分けて、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンがある。そして、β-ヒドロキシ酢酸には抗炎症作用があることが判明した。免疫系に炎症を起こさせる様々シグナルを阻害して抗炎症作用を発揮する。薬と違って人体由来の抗炎症作用なので比較的に安全性は高いのではないだろうか。

ケトジェニックダイエットに対する腸内細菌の変化
ケトン体は放線菌、バクテロイデス門、フィルミクテス門、に直接的な影響を与えて腸内細菌叢を変化させることにより、腸の炎症性T細胞が減少し炎症のレベルを低下させる。

この変化によって慢性炎症も減り様々な自己免疫疾患に有効なのだと思う。

他にはアッカーマンシア・ムシニフィラ、パラバクテロイデス属、を増加させることにより、てんかんの発作を抑える。

ケトジェニックダイエットや糖質制限には批判的な記事も多いですが、違った側面から見ることも大事だと思う。

私自身の体験
私もケトジェニックダイエットを行っている時は、症状が軽くなる。
下痢、50~60%程度改善
お腹の張り、ガス、70~80%程度改善
腹部の不快感、40%程度改善
倦怠感、30%~40%程度改善
ブレインフォグ、不安感、無気力、イライラ、30%~50%程度改善
不眠、0~10%(ほとんど改善なし)

IBS(過敏性腸症候群)になる前には少し眠りが浅いくらいで、このような症状を感じたことは殆どなかった。

食事を変えると症状に変化が起きると分かったことで、腸内の微生物の仕業だと確信している。

症状が軽くなるのでケトジェニックダイエットを続けることができれいいのだが、元々痩せ型で糖質の摂取をやめた途端に体重が見境なく減る。
なので長期間はでない。せいぜい2週間程度。

それに、食事を元に戻すと症状も戻ってくるので根本的な解決にならない。

色々と問題もあるが、少なくともケトジェニックダイエットを行うことによって炎症が減るのは確だ。
近年、病気と炎症の関りが分かり始めてきた中で治療する方法の一つとして取り入れるのもありだと思う。

参考

・nature medicine
The ketone metabolite β-hydroxybutyrate blocks NLRP3 inflammasome–mediated inflammatory disease | Nature Medicine

・BMC Part of Springer Nature
doi.org

・Cell
doi.org

・Genetic Engineering&Biotechnology News
www.genengnews.com